この記事でわかること:
- GMKtec NucBox G5の正確なスペックと実力
- 購入前に知っておくべきSSDスロットの制約
- 在宅ワーク・軽作業用途に向いている人・向いていない人
きっかけは「デスクをすっきりさせたい」という単純な動機だった
私はプログラマーの傍ら、Kindleで本を書く副業をしている。
作業自体は軽い。コードエディタとブラウザとZoomが同時に開けば十分で、高性能なPCは要らない。ただ、デスクの上にノートPCが置きっぱなしになっていて、作業スペースが狭い。モニターを別に用意して、PCはどこかに隠したかった。
そう思って選んだのが、GMKtec NucBox G5だ。
正直なデメリット
SSDはM.2 2242が前提(2280 NVMeは物理的に不可)
これが最大の注意点だ。内蔵SSDスロットはM.2 2242規格で、一般的に流通しているM.2 2280 NVMeのSSDは物理的に取り付けられない。
公式スペックはSATA接続が前提だが、海外ユーザーフォーラムでは同サイズ(2242)のNVMe SSDが動作したという報告も存在する。ただしメーカーが保証する仕様ではないため、換装を検討するなら2242 SATAの別売りSSDを基本として考えておく方が安全だ。最大2TBまで対応。
映像出力はHDMI×2の2画面まで(DisplayPort非搭載)
「3画面対応」という記述が一部に出回っているが、NucBox G5の映像出力はHDMI 2.0×2ポートのみだ。DisplayPortは搭載していない。同時出力は最大2画面。3画面を必要とする場合はこの製品では対応できない。
Bluetoothは4.2(5.2・5.0ではない)
Wi-Fiは5(IEEE 802.11ac)、Bluetoothは4.2だ。「Bluetooth 5.2」や「5.0」という表記が混在しているが、公式スペックおよび実機確認では4.2が正しい。最新のBluetoothデバイスとのペアリング自体は可能だが、規格は古め。
筐体はプラスチック製
72×72×44.5mmという超小型筐体はプラスチック製だ。持った感じは軽く(実測約169g)、高級感はない。デスクに置くか、モニター裏にVESAマウントで隠す用途であれば気にならないが、触感にこだわる人には向かない。
高負荷時はファンが回る
通常作業中はほぼ無音だが、CPUに負荷がかかるとファンが回り始める。実機レビューによると負荷時に89℃前後まで温度が上昇するという報告もあり、長時間の高負荷作業は想定されていない設計だ。
実際に使ってみた感想
第一印象
72×72×44.5mm、約169gというサイズは文字で読むより実物の方が小さく感じる。スマートフォンより一回り小さい箱がPC本体だ。電源はType-C(12V 3A、36W)で、ケーブル類もすっきりまとまる。
VESAマウントが付属しているので、モニター裏に取り付ければデスクからPCが完全に消える。これだけでデスクの作業スペースが広くなる。
重量約169gはスマートフォンより軽い。旅行先のホテルのテレビに繋いでPC化したり、実家のモニターに接続して作業したりといった「出先での環境構築」が、ノートPCを持ち歩くより身軽に実現できる。Kindleで本を書く副業をしている私にとって、これは予想外のメリットだった。
日常作業(ブラウザ・Office・Zoom)
ブラウザを複数タブ開いた状態でOfficeとZoomを同時起動しても、作業に支障を感じるレベルの遅さはなかった。N97のTDPは12WでN100(TDP 6W)より上位、ベンチマーク上の性能差も実感できる範囲だ。
「N100より速い」という表現は概ね正確で、PC Watchの実機レビューでも同様の評価がある。
4K動画の再生にも対応しており、リビングのテレビに接続して動画視聴に使う用途にも向いている。
できないこと
動画編集・ゲーム・ローカルAIには向かない。軽いゲーム(720p低設定の旧タイトルや軽量エミュレーター)は動くが、最新タイトルを快適に遊ぶスペックではない。あくまで「軽作業専用機」だ。
スペックまとめ
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| CPU | Intel Alder Lake N97(4コア4スレッド、最大3.6GHz、TDP 12W) |
| メモリ | 12GB LPDDR5 4800MT/s(オンボード固定・換装不可。8GBでは不安、16GBは要らないという用途への絶妙な落とし所) |
| ストレージ | 256GB M.2 2242 SATA SSD(2280 NVMe非対応、最大2TB換装可) |
| GPU | Intel UHD Graphics 24EU(最大1.2GHz) |
| OS | Windows 11 Pro |
| 映像出力 | HDMI 2.0×2(4K@60Hz対応、2画面まで) |
| USB | USB 3.2 Gen1×3、USB-C×1(電源給電専用。データ転送・映像出力には使用不可) |
| Wi-Fi | Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac) |
| Bluetooth | 4.2 |
| 有線LAN | Gigabit Ethernet |
| その他 | microSDスロット、3.5mmオーディオジャック、VESAマウント付属 |
| サイズ | 72×72×44.5mm |
| 重量 | 約169g |
| 保証 | 1年間(GMKtec公式) |
| 価格 | ¥49,061(税込、時期により変動) |
比較:同価格帯・同用途のミニPCと比べると
| 項目 | GMKtec NucBox G5 | GMKtec G3 Plus(N150) | NiPoGi AM06 Pro(Ryzen 5 5500U) |
|---|---|---|---|
| CPU | Intel N97 | Intel N150 | AMD Ryzen 5 5500U(6コア) |
| メモリ | 12GB LPDDR5(固定) | 16GB DDR4(換装可) | 16GB DDR4 |
| ストレージスロット | M.2 2242 SATAのみ | M.2 2280 NVMe | M.2 2280 NVMe |
| 映像出力 | HDMI×2(2画面) | HDMI+DP(2画面) | 3画面対応 |
| Bluetooth | 4.2 | 5.2 | 5.2 |
| Wi-Fi | Wi-Fi 5 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6 |
| サイズ | 72×72×44.5mm(超小型) | 標準ミニPCサイズ | 標準ミニPCサイズ |
| CPU性能 | エントリー | エントリー | ミドル(約1.5〜2倍) |
| 価格帯 | 約5万円 | 2〜3万円台 | 3〜4万円台 |
同じ5万円を出すなら、CPUとメモリ・SSD拡張性で上回るNiPoGi AM06 Proも比較対象になる。NucBox G5を選ぶ理由は「72×72mmという圧倒的な小ささ」と「169gの軽さ」に絞られる。その小ささに価値を感じる人向けの製品だ。
こんな人に向いています
- モニター裏に完全に隠れるPCサイズを求めている人
- ブラウジング・Office・Zoom程度の軽作業がメインの人
- 動画視聴専用のリビングPCが欲しい人
- 省電力・静音を重視する人(TDP 12W)
- セカンドPC・子供用PCとして割り切って使える人
こんな人には向いていません
- SSDを好きなものに換装したい人(2242 SATA限定)
- 3画面以上で作業したい人
- Wi-Fi 6・Bluetooth 5.0以上が必要な環境の人
- 同予算でより高い性能を求める人(NiPoGi AM06 Proを検討)
- 動画編集・ゲーム・重い処理をしたい人
まとめ|GMKtec NucBox G5は「圧倒的な小ささ優先」の人向けエントリーミニPC
性能でもコスパでも上位の選択肢がある。ただ、72×72×44.5mmというサイズは他に代えがたい。モニター裏に完全に隠れる、カバンに放り込んで持ち運べる、そういう「小ささ」に価値を見出す人には唯一無二の選択肢だ。
SSDがM.2 2242 SATA専用であること、映像出力が2画面まであること、この2点は購入前に確認してほしい。
同じ予算で性能重視なら他の選択肢を、「とにかく小さいPC」が欲しいならNucBox G5を選ぶ、という判断軸でいいと思う。
価格は時期によって変動します。購入前に必ず現在の価格を確認してください。


コメント